ガリレオX

世界最速を実現した日本の超伝導リニア

BSフジ
本放送:12月08日(日)昼11:30~12:00
再放送:12月15日(日)昼11:30~12:00

 諸外国で導入されているリニアと比べたとき、日本で開業予定のリニア中央新幹線の技術的特徴とはなんだろうか?それは一般的な電磁石を使った浮上ではなく、非常に強力な超電導磁石を利用した浮上である点だ。そして超電導リニアは、超高速ゆえの空気抵抗への対策、高精度な推進システム、そして超電導磁石の材料開発や冷却機構など、いずれも高い技術によって課題が克服された結果、その実現に至ったものだ。また、騒音問題の解決や、磁界の安全性の確保など、乗り越えてきた壁はこれまでのどんな交通機関よりも高難度ものだった。世界最速を実現した超電導リニアの、そのテクノロジーに迫る。

日本の超電導リニアの独自性
 2027年を目標に「リニア中央新幹線」という、超電導技術を使った新しい乗り物ができようとしている。これまでいくつかの国で既に導入されている電磁石を使って浮上走行するリニアモーターカーだが、日本のリニアは超伝導磁石を使う独自の技術だ。超電導とは、特定の物質を極低温に冷却すると、電気抵抗ゼロの状態が生まれる現象だ。例えば大電流を超電導体のコイルに流せば、半永久的で強力な超電導磁石を作ることができる。そして従来のモーター駆動の電車は、車両のモーターに絶えず電力供給をしなければいけないが、超電導リニアの場合は、車両を動かすための電力の供給は要らないという。

浮上の原理と推進の原理
 超電導リニアで最も大きな技術的特徴は、一車両あたり約25トンになる車両を、10cmも浮かせることができる「浮上の原理」だ。超電導リニアの車両の両側面に設置された超電導磁石が、ガイドウェイと呼ばれる線路の左右の壁面に埋め込まれた浮上コイルとの間に電磁誘導という現象を起こし、車両を押し上げる力と、引き上げる力が同時に発生して浮上するのだという。一方、「推進の原理」は同じく左右の壁面に設置された「推進コイル」に電流を流し、電気的にN極とS極を高速に切り替えていくことによって車両に搭載された「超電導磁石」を吸引する力と反発する力が繰り返されることによって、加減速をおこなっている。

空気とのたたかい
 空気抵抗は速度の2乗に比例する。超電導リニアは時速500kmという超高速であるため、空気抵抗を減らす工夫が不可欠だ。そこで超電導リニアは東海道新幹線と違い、車両と車両の境目の部分に連接台車を使い、そこに超電導磁石を設置することで車両間の凹凸を少なく滑らかにして空気抵抗を減らしているという。また、地下や山間部など高低差のあるルートを走行中に耳がツーンとするいわゆる「耳ツン」現象を軽減することも空気とのたたかいだ。車内の気圧変化を少なくするためにとられた対策とは?

安全、騒音、磁界の問題の解決
 超電導リニアが安全に走行するにあたっては特別な課題もある。まず、沿線環境におよぼす超高速の走行音の軽減。そのために緩衝工という小さな穴をいくつも開けた特別なフードをトンネルの出入り口に設置している。そして磁界対策としては、旅客を超電導磁石の強い磁界から防護するために、飛行機のボーディングブリッジのような専用の装置を通って乗降するようになっている。これらの問題は山梨実験線を使っての対策研究が長年積み重ねられ、技術的な解決が図られている。


主な取材先
大崎 博之さん(東京大学大学院)
寺井 元昭さん(JR東海)
山梨県立リニア見学センター
JR東海山梨リニア実験センター

トップへ戻る